書道学博士が直接指導する稀有な学びの現場
読売書法会理事、謙慎書道会常任理事、拓殖大学非常勤講師——これだけの肩書を持つ書家から直接筆の運びを学べる場は、そう多くない。六本木富岳書道教室 Japanese Calligraphy Experience Roppongiを主宰する渡邉富岳は、2019年に金文研究で博士号を取得した書道学博士であり、六本木・高幡不動・淵野辺・佐野の4教室で稽古を行っている。学術と実技の両方を長年にわたって追究してきた人物が、教壇に立ち続けている。
2023年には京都大学LSAセミナーへの登壇も果たしており、研究活動は現在も途切れていない。個人的には、大学での講義や学会発表と並行しながら週ごとの稽古を続けている点が印象的だった。学術的な裏付けが稽古の中で自然に言語化されるため、受講者は筆の動かし方だけでなく「なぜその形になるのか」という理屈にも触れられる。理論と実践が分かれずに同居している空間は、書道教室としてかなり珍しい。
映画・ドラマの現場から北欧ギャラリーまで
2025年、映画『F1』プロモーションで来日したブラッド・ピット氏に渡邉富岳が書道を指導したニュースは記憶に新しい。それ以前にも映画『陰陽師0』で山﨑賢人氏へ筆の所作を伝え、Netflix『イクサガミ』では手元書を担当するなど、エンターテインメントの制作現場に継続的に関わっている。ドラマの題字制作も複数手がけており、映像作品を通じて書に触れた視聴者も少なくないはずだ。
同年3月にはクラウドファンディングで219万円の支援を集め、ノルウェーとデンマークへ遠征。現地で3mの古代文字「夢」を揮毫し、ギャラリー個展やワークショップを開催した。海外での活動を知って入会を決めたという声も目立つ。国境を越えた発信力が、教室そのものの空気にも影響を与えている。
入会金・年会費ゼロで始められる段階的カリキュラム
楷書と行書から入り、草書・篆書・隷書へ段階的に進む構成が組まれている。実技だけでなく書学(座学)の時間も設けられており、書体の成り立ちや歴史的背景を知識として吸収できる。小学1年生以上なら経験を問わず入会可能で、入会金と年会費はかからない。月謝は月2回で10,000円、月3回で13,000円という設定になっている。
初回体験は3,000円、見学は随時受け付けている。4拠点を組み合わせて通えるかどうかも相談できるため、仕事の都合で曜日が固定しにくい人にも通いやすいという声が聞かれる。月謝体系が明確で追加費用の心配がない点は、長く続ける上で地味に大きい。
異分野コラボと国際交流が日常にある教室
コンポーザーのAlexandre Dai Castaing氏と共作した映像作品「SHO ON-GAKU」や、建築家とのパフォーマンスなど、六本木富岳書道教室 Japanese Calligraphy Experience Roppongiでは書道の外側へ踏み出すプロジェクトが頻繁に動いている。年間を通じて合宿や懇親会が開かれ、稽古の延長線上で会員同士の交流が自然に生まれる環境がある。書道展への出品機会も複数回用意されており、作品発表を目標に据えて稽古する会員も多い。
海外からの参加者向けに書道体験クラスが設けられている点も見逃せない。英語圏や欧州の受講者と同じ空間で筆を持つ機会があり、異文化の視点から書を捉え直す場面に遭遇することもあると感じる受講者もいるようだ。書を閉じた伝統芸術ではなく、開かれた表現行為として扱う姿勢が、教室全体に浸透している。


